昨夜、TV局記者の方からのお問い合わせで田村正和さまの訃報を知りました。
京都北大路の当店を隠れ家的に、お顔を出してくださっておりました。
物静かにお酒を嗜まれているお姿がなつかしく思います。
どうか心静かにご冥福をお祈り申し上げます。
こぼればなし 〜三代目女将の思い出話〜
昭和の終わり、私がまだ若女将として店に出だした頃に何度かお訪ねいただいておりました。
初めてお目にかかった時には、お帰りになられる前まで気がつかず、お店を出られた後に亡き母(先代の女将)から「あの方、知ってるやろ?」と言われて気がついた有り様どす。
それ以降もお越しいただくたび、テレビドラマで見かける華やかなイメージと違うお姿を拝見しました。
母と少しお話しされる以外は、物静かにお過ごしどした。
何を飲まれていたか? 何を召し上がられていたか? あまり記憶にありません。
帽子を深く被り、グラスかお猪口を片手に持たれていた姿しか思い出せしません。
じつのところどんなご縁で照月にいらしてくださったのか、母が亡き今、それを知るすべもおへん。
ただ当時20歳前後だった私にもはっきりと分かる「大人の男性の格好良さ」が滲み出ておられました。
一度、お会計の際にお釣りをお受け取りにならず、「どうぞ」と言ってお帰りになったこともありましたがその時もとにかくオーラに圧倒されるばかりで。
テレビで拝見するたびに、あの時のお姿を思い出しておりました。
本来はお客様のことはあまり多くお話申し上げないのですが、昨日からのテレビでの訃報に接し、田村さんは普段のお姿をお見せにならなかったとのこと。
多くの皆様に少しでも思い出を共有いただきたく、一文を記させていただきました。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。